ねずみの初夢 関東を制す!
明けましておめでとうございまする。🎍
本年はネズミ🐭年。何かよい話はないものかと考えていたら、思い出しました。
馬上で采配を振り上げる頭巾姿の武将、こちらは北条早雲公です。まあ、彼自身は生前、北条は名乗らずに伊勢宗瑞(俗名は盛時 早雲は庵号)で通しましたが。
宗瑞さん、元は備中国荏原庄(現・岡山県井原市)に領地を持つ伊勢家に産まれました。伊勢家は京の足利将軍家に政所(幕府の財政を担う)の役人として代々働いておりました。エリート官僚一家だった訳ですね。
伊勢家から駿河(静岡県)を治める守護大名・今川義忠に北川殿という女性が嫁いだのが宗瑞さんが関東に赴くきっかけになりました。
2019年は北条早雲公の没後500年で色んなイベントがありました。
さて、今川義忠さん、遠江(静岡県)の合戦の帰り道に油断から残党の待ち伏せであっけなく亡くなり、夫人の北川殿と幼い息子・龍王丸が残されました。
当然の如く、跡目争いが起きて、北川殿からSOSが発せられ、幕府の調停を経て一旦は沈静化します。しかし北川殿の息子が跡を継げる年齢になっても代理は譲りません。ついに京から宗瑞さんが助けに赴き、跡目奪還に成功して、功績に興国寺城(静岡県沼津市)を与えられました。
ここに宗瑞さんが関東に乗り出す拠点ができました。
伊勢宗瑞公の座像資料をカラコピしてラミネしました。栞です。
ここからは軍記物語『北条記』の記述なので事実の証明は難しいですが、ソレガシは好きな話です。
ある年、宗瑞さんは三嶋大社(静岡県三島市)に参拝して御家の繁栄を願います。そして元日の晩にある夢を見ます。
(三嶋大社 数年前の元日に撮影)
広い大地に二本の大木が屹立していました。すると一匹のネズミが現れ、大木の根元に噛りつき、少しづつ削り、ついには倒してしまい、ネズミは虎へと変化(へんげ)しました。
夢を吉祥と感じた宗瑞さんは二本の大木は関東を治める二つの上杉家であり、ネズミは自分で上杉を打倒して関東に北条の旗をたてるのだ、と決意したといいます。
事実、北条は関東に覇を唱えました。豊臣秀吉には負けましたが、大名家として現在の大阪府狭山市に存続して家名を現代に残しました。
(江戸時代の北条家・陣羽織)
北条家は重要な命令や書状には虎の印判をおしていたので、そのような話が創造されたのかもしれません。
しかし、宗瑞さんが残した遺訓の第一条に、
『仏神を信じ申すべき事』とありますので初夢に見たのかもしれません。
皆の衆も初詣に行きましょう。
オマケ
伊勢宗瑞さんの生涯を、『究極超人ア~ル』『パトレイバー』『じゃじゃ馬グルーミンup』などの名作を産み出してこられたゆうきまさみ先生により漫画化されています。
『新九郎、奔る!』
ソレガシが言うのはおこがましいですが、ゆうき先生、最新の学説までよく勉強されていて、混迷極まる室町時代をわかりやすく描いています。装束考証も正しいし!(これ、大事)。
皆の衆も読んで!